公益社団法人 日本文化財保護協会

 

 日本文化財保護協会は、埋蔵文化財の発掘調査、出土遺物や堆積物などの科学分析、歴史的建造物や記念物、出土品などの修復、復元、保存などの業務に携わる民間調査機関による団体で、民間の埋蔵文化財調査機関が集結して設立された我が国初の全国組織として2004年(平成16年)に発足し、2010年(平成22年)に内閣府より公益社団法人の認定をいただき、活動を継続しております。

 

 国民の共有財産である埋蔵文化財の保護に必要な技術力や専門性を育成向上するために民間調査機関が自発的に結成した協会です。そのため、文化財保護に関する調査、研究を通じて埋蔵文化財調査事業の健全な発展を図り、もってわが国の文化芸術振興に寄与することを目的としています。

 

 当協会は、独自で整備した「埋蔵文化財調査士・調査士補等の資格制度」の普及を進め、これまでに埋蔵文化財調査士は延べ427名以上(2023年5月時点)、同調査士補は延べ411名以上(同)を輩出し、更にはCPD(継続教育)制度を実施し、専門技術者の技術力の向上、育成に努めております。

 

 また現在、行政・大学等においても現場実習等を経験する機会が少なく、専門技術者の減少、特に将来を担う若手人材の不足が問題とされていることから、「行政の良きパートナー」となるべく、会員企業による学生のインターンシップ受け入れ等も積極的に進めております。

 

 協会活動や会員を紹介する会報誌「飛天」、会員企業の発掘調査実績・研究成果をまとめた「紀要」などの定期刊行物の発行、発掘や考古学の面白さを多くの方々に知っていただき、国民共有の財産である文化財をより身近なものとして親しみを持ってもらうためにスタートし、今年度で第15回目となる「考古検定」の実施など、公益社団法人としての役割を果たすべく、広報・啓蒙活動を継続しています。

 

 平成31年に改正された文化財保護法では、これからの時代に相応しい文化財の継承のための方策として、「総合的な視野に立った地域における文化財の保存・活用の推進強化」が示されています。また国のデジタル化推進の方針に則り、(埋蔵)文化財事業においても、デジタル技術等の積極的な活用による省力化や工期短縮、コスト削減が期待されています。

 

 当協会としてそれらの方針を理解・共感し、これまで会員各社が培ってきた業務実績や技術力、最新技術への取り組み等を活かし、国の方針の実現に向けて努力してまいる所存です。

 

 関係省庁並びに都道府県、市町村の皆様方との更なる連携強化に努め、公益社団法人としての役割を果たすとともに、文化財事業の発展と会員企業の地域貢献と目指し、協会としての責務を果たしてまいります。


 皆様には引き続きのご指導、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
                          

                                              

                                              公益社団法人日本文化財保護協会

                                                     理事長 山口 寛